古くて新しいモンゴリナラ

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モンゴリナラと呼ばれてきた樹木を、東大の大場秀章教授は2006年にフモトミズナラと命名しました。

学名はQuercus serrata subsp. mongolicoides H.ohba としています。

モンゴリナラの様なコナラの亜種としています。

これに対し、愛知教育大の芹沢俊介教授はフモトミズナラをコナラではなくミズナラの変種として命名しています。

学名はQuercus crispula blume var mongolicoides(H.ohba)Seriz.

モンゴリナラの様なミズナラの変種としています。

このようにフモトミズナラに二つの学名が付いてしまいました。

 

モンゴリナラがフモトミズナラと命名されたことに対し、研究者の中から疑問が生まれています。

「フモトミズナラとしながら、学名がなぜコナラの亜種となるのか」

「コナラの亜種は分かりません」

「名古屋大学の広木昭三先生はトウカイナラが良かったかな」

「埼玉県立自然博物館の須田大樹・星野義延氏は北関東と東海の低標高に分布するフモトミズナラについて葉の側脈、鋸歯形、葉長と葉身幅などについて比較している。その結果はミズナラよりも大陸系のモンゴリナラと類似していた。堅果の形態についてもミズナラと明らかに違いがあり、モンゴリナラに関する諸文献の記述と共通点が多かった」

「コナラとは、葉柄の長さ、葉裏の毛の有無、堅果の縦横比、殻斗の鱗片の高さなどで多くの

点で異なっていた」としています。

 

日本はその昔大陸とつながっていました。その後日本列島が沈みこみましたがこの桐生地区は足尾島と呼ばれ沈まなかった区域です。

桐生地区の植生の約40%が大陸系の植物で占められています。(桐生市植物誌)

モンゴリナラも当然この中に入ります。

私が韓国雪岳山(そらくさん)で見たモンゴリナラは桐生のモンゴリナラと同一でした。

                                            宮下正次 2010.03.04

 

 

コメント(3)

モンゴリナラについての見解は、宮下正次様と全く同じです。フモトミズナラという呼称には、強い疑念を持っています。(この見解は昨秋出版しました拙著「愛知県森林公園植物誌(図鑑)」に、述べてあります。)

わたしはもう40年来、東海丘陵でモンゴリナラを見続けてきました。東濃、笠置山の標高700mが私の見たモンゴリナラ自生の最高地点で、通常は20m〜100mの範囲に分布しています。通常、ウンヌケとセットになって出てきます。先日、まだ分布の未確認だった三重県に、モンゴリナラを確認し、科学博物館、大阪市立博物館、私の拠点である森林公園展示館、それに三重県博物館に標本を納入する為、押し葉標本をつくりました。この地は、ウンヌケのを探していて、偶然見つけました。ご承知のように、ウンヌケは大陸起源の植物です。
1977年、当時は目白にあった科学博物館植物分室で、大陸産のモンゴリナラの標本や日本のミズナラ類似植物を詳しく調べてみました。戦前の中国大陸で採集されたいくつかのモンゴリナラの中に、私たちが見ているモンゴリナラと形態的にほぼ同一のモンゴリナラが有りました。

私の友人が韓国から持ち帰ったナラの葉が、私たちの見ているモンゴリナラと全くウリ二つでした。私たちの地方には大陸から隔離分布して生えているヒトツバタゴがあります。これは、類似の植物がないので、簡単に大陸のものと同じとされました。奈良の仲間は、かなり交雑をしやすく、ミズナラとカシワの交雑があったり、ケータイがモンゴリナラに類似するものがかなりあります。そんなことがあるので、モンゴリナラは長い間、はっきり種を特定できずにいました。わたしは,広木先生とも、芹沢先生とも、一緒に仕事をしました。広木先生(現在は名大から愛大に変わられましたが)種の同定を私に任されました。芹沢先生は、学生を使って多くのモンゴリナラの葉の形態的変異を調べられました。結局、結論を出される前に、大場秀章先生が、新種名を発表されてしまいましたので、お二方は、釈然としない気持ちでいられるのではないかと思います。(広木先生は私にも、コナラの変種となっているのはおかしいとぼやいてみえましたが)、いずれにしても、モンゴリナラをフモトミズナラとする見解には、私は同意しません。来年にも、植物 地理分類学会で、この見解を表明しようとおもっと思っています。もし、宮下様のメールアドレスを教えてくださったら、韓国産のもの、愛知県春日井市産のものの比較写真をお届けします。

宮下様のモンゴリナラの解釈を見せていただき、とても強く勇気づけられました。ながながと、失礼しました。

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