ガンの手術を受けて体がだるくてだるくて、来る日も来る日も寝てばかりの生活。
東京を離れたい。
「主人は俺を置いていくのか」。
このままの生活は死ぬより辛い。
「娘はお母さんが元気になることが一番」。
以前に行ってよかった新潟県松之山行きを決意した。
片づけごともゆっくりすれば思っていたが、ついてすぐに片づけを始めている自分がいた。
ご近所の皆さんも何とも言えない温かさに驚く。
「灯が消えていた家に明かりが点いたことがうれしい」と。
松之山の生活は日暮れとともに眠くなり、夜明けとともに起きだす暮らし。
「片づけを手伝にきた娘が、ここの一日は四季がある」。
朝は小鳥のさえずりの春、昼は暑い夏、夕は秋、夜は薪ストーブで冬。
あんなに寝てばかりしていた体はどこに行ったのか、この赤倉で大自然のサイクルに戻った。
つるた とよ子さんは感謝の連続。
山の力・森の力をくまなく感じ取った身体。
「人は森から遠ざかると病気が近づく」。
つるた とよ子著 『暮らしてみたら魔法の里』 恒文社 2000円+税